2026.7.29 夏の夜長の書評コーナー 賢人たちの世 城山三郎 文藝春秋
書評コーナーですが、相生店の開店等でバタバタしており、だいぶ間が開いてしまいました。なかなかUPできずすみません。
今回紹介する本は、「賢人たちの世 城山三郎 文藝春秋」です。
著者の城山三郎氏といえば、経済小説・政治小説の第一人者であり、事実をもとに書かれたノンフィクションに近い小説で、企業や官庁のリアルな内情や人物像を鮮やかに描き出すことで有名です。
経済小説といえば、他にも経済小説では、高杉良氏、幸田真音氏などが有名です。また政治ノンフィクション、政治小説では大下英二氏などが有名です。
さて、この作品『賢人たちの世』は、昭和40年代から50年代にかけて「昭和の三賢人」と呼ばれた3人の政治家——椎名悦三郎、前尾繁三郎、灘尾弘吉——の足跡を辿る作品です。この三人の政治家を取り上げるところになかなかのマニアックぶりというか通ぶりを感じさせます。三人とも自民党ですが、総理総裁でもないので、なかなか最近では耳にする機会も少ないのではと思います。
内容としては、昭和の政界で「政治屋」が幅を利かせる中、理想の政治を真剣に追い求め、政界の浄化に腐心した彼らの姿を、丹念な取材と豊富な資料をもとに描いています。
3人はいずれも官僚出身で、岸信介―佐藤栄作といった主流の権力の流れから距離を置き、人事工作や寝業師的な駆け引き、派閥や個人のための金集め・金配りを不得手としました。能弁ではなく、自己を吹聴することもないタイプです。城山は彼らを「政治屋の対極にあるすぐれた政治家」として位置づけ、その生き方を通じて「政治のあるべき姿」を問いかけます。
経済政治小説というより、ドキュメンタリーに近い評伝・政治記録、ノンフィクションの色合いが強い作品です。
令和の政治状況を考えるにあたり、いぶし銀のような活躍をした「昭和の三賢人」に学ぶのも意義深いなと読後に感じさせる作品です。
以上、夏の夜長の書評コーナーでした。次回もお楽しみに。

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