芸備書房

2025.11.27 秋の夜長の書評コーナー 講談社文庫:小説ヘッジファンド 幸田真音

 11月は、11/1-5:西宮えべっさん古本市、11/14-16:神戸古書即売会、11/24-30:広島紙屋町シャレオ古本まつり、と立て続けに催事に出店し、また体調を崩して風邪をひいたりして、なかなかUPできずすみません。 

 今回紹介する本は、私が農協中央会の監査部署で有価証券運用の監査をしていたとき(もう15年近く前です)に読んで感銘を受けた本です。

 「講談社文庫:小説ヘッジファンド 幸田真音著」ですが、外資系投資銀行でディーラーや外債セールスをしていた著者が、銀行のディーリングルームやヘッジファンドのディーリングを舞台に、有価証券運用の現場のドラマを描いた小説です。有価証券運用の監査にあたっては、有価証券のこと、特に金融取引会計や、金融商品、投資手法等について一定の知識が求められますが、その中でも金融派生商品(いわゆるデリバティブ)についてはなかなか理解するのが厄介です。ところがこの小説を読むと、自然と金融派生商品も含めた有価証券運用の大枠というか勘どころをつかめるのがよいところです。

 いわゆる金融関係の経済小説では、銀行の融資やプロジェクトファイナンス、あるいは本店の派閥争い、支店の取引先課の話などはよく取り上げられますが、有価証券運用について取り上げられるのは珍しく、その意味で著者の幸田真音氏は、有価証券運用小説?の分野の先駆者といえます。

 この小説は1994年の金融市場環境を舞台としており、現在とかなり環境が異なっていますが、それでも今回読み返してみて、有価証券運用についての復習ができました。そういえば最近、幸田真音氏の小説を見かけないなーと思ってググってみたところ、2020年の作品が直近で、ここ5年ぐらいは新作の出版が無いようです。1995年に作家デビューして、毎年1-2冊出版されていたようですが、2010年頃からは、有価証券関連以外にも、歴史経済人小説(絹屋半兵衛、高橋是清、池田隼人など)などに幅を広げています。とはいえ、幸田真音氏の筆が生き生きするのはやはり有価証券関係だとおもいます(他に書ける人が居ない?のもありますが)。

 以上、秋の夜長の書評コーナーでした。次回もお楽しみに。

 

 

 

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