芸備書房

2025.6.21 夏の夜長の書評コーナー 「暗黒・中国」からの脱出 顔伯鈞 安田峰俊編訳 文春新書

 最近気温がぐっと上がって蒸し暑くなってきましたので、今回から夏の夜長の書評コーナーに変更しますw

 さて、今回紹介する本ですが、「暗黒・中国」からの脱出 顔伯鈞 安田峰俊編訳 文春新書 です。

 編訳者の安田氏は、中国関連のルポを手掛けるルポライターだが、彼がタイのバンコクにいたときに、中国から亡命してきた元共産党エリート学者と知り合い、その逃避行を描いた手記を託されることになります。その手記の編訳が本書になります。

 タイ、ミャンマー、ラオス、ベトナム、カンボジア等には、中国人コミュニティーが存在し、その中には、現在の中国共産党政権に親和的なグループもいれば、敵対的なグループもいます。特に、国共内戦時、蒋介石をはじめ主力は台湾に逃れましたが、なかには中国雲南省からミャンマー、タイ、ラオスへのがれたグループもいて、そういった中国共産党に非協力的なグループのネットワーク、あるいは出身地のネットワーク、青幣といった秘密結社系のネットワークの中には、中国共産党から迫害されたり、追われた同胞を匿う組織もあったりします。

 この本はそういったネットワークを使って、北京からバンコクまで逃げてきた元共産党エリート学者の逃避行です。まあしかし、共産党というのは異論を認めないというか、人権感覚がないというか酷いものだなと、この本を読んで個人的には思います。また、不謹慎な言い方になるかもしれませんが、この逃避行自体が、壮大なドラマというか現実にこんなことがあるんだという驚きを提供してくれます。

 あまり話すとネタバレになるので、このあたりにとどめておこうかと思います。

 今回の書評はここまでにします。次回もお楽しみに。

 

 

 

 

 

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