2025.2.27 冬の夜長の書評コーナー パトリオット プーチンを追い詰めた男最後の手記 アレクセイ・ナワルヌイ 星薫子他訳 講談社
今回の書評コラムは、パトリオット プーチンを追い詰めた男最後の手記 アレクセイ・ナワルヌイ 星薫子他訳 講談社 を紹介したいと思います。著者のアレクセイ・ナワルヌイ氏は、ロシアの弁護士、政治活動家で、プーチン、メドベージェフ、エリティン政権の汚職・腐敗を厳しく追及した人物です。彼はその活動の過程で、何度も逮捕、投獄されましたが、最後は、2024年2月にロシアの北極圏内にあるヤマロ・ネネツ自治管区の刑務所で死去(収監中に病死)しました。ちょうどウクライナ侵攻中の出来事でした。
ソ連崩壊後、民主化、資本主義経済化へのプロセスの中で、エリティンをはじめとした既存政治家や新興資本家(オリガルヒ)の不正蓄財、汚職、権力乱用に対して、彼はSNSを駆使し、政治活動をしながら批判しました。また彼に勇気づけられて、たくさんの一般市民も、既存政治家や新興資本家(オリガルヒ)の不正蓄財、汚職、権力乱用に対して厳しい声をあげ、彼とともに多くの市民が集会やデモに参加しました。彼は、彼の政治活動やその影響力を恐れたロシア政府当局による圧力や、ロシア政府が政権を守るために、選挙結果の不正操作(疑惑)までしたため、政治家(議員、首長)にはなれませんでしたが、なんやかんやと軽微な事由での別件逮捕や、でっち上げの犯罪、乱発された訴追等により、自宅軟禁、収監、投獄、暗殺(未遂)等を仕打ちを受け、最終的には北極圏内の刑務所で命を落とすことになりました。
この本は彼自身の生い立ちから、政治活動の過程、腐敗・汚職の実態、メドベージェフ、プーチンから受けた圧力、脅迫、投獄、暗殺(未遂)、刑務所での酷い待遇等について、収監中に日々書き残した最後の手記です。
彼が死亡したときは、ちょうどロシアのウクライナ侵攻の時だったので、あまり大きく取り上げられることなかった(というか戦時中なので反政府的言動が厳しく取り締まられていた)のですが、24年10月に日本語訳が出版され、日本でも注目されました。私も、遅ればせながら最近やっと読了できました。
このブログを書いている25年2月27日現在、彼も政治活動において活用していたSNSやYouTubeを見ると、日本でも、財務省解体デモ、森永卓郎氏の病死、103万円の壁、石破内閣や財務省に対する国民の厳しい声といったものが取り上げられていて、アレクセイ・ナワルヌイ氏の活動とオーバーラップしてしまいます。
ロシアほど酷くないにしても、今の日本において、アレクセイ・ナワルヌイ氏の活動、生き様、軌跡というのは、日本においても、他人事でなく、活動の方法や、主張、理念、政治姿勢等学べる点が多数あると感じます。
今回はここまでにします。次回もお楽しみに。
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