芸備書房

2025.2.20 冬の夜長の書評コーナー 決定版 日本の蒸気機関車 宮澤孝一 講談社 SOPHIA BOOKS

 今回の書評コラムは、決定版 日本の蒸気機関車 宮澤孝一 講談社SOPHIABOOKSを紹介したいと思います。

 蒸気機関車(SL)は、今では観光用に運用されているのと、鉄道博物館に保存されているぐらいですが。実際にSLが、明治の鉄道開通から1975年の定期運用終了まで長期にわたり活躍してきました。

 その間には外国産、国産ともに多様なSLが日本国内で運用されてきたわけですが、この本はそれらSLの型式やスペック、特徴、またSLの仕組みや分類について網羅的にかつコンパクトに取りまとめた本です。

 私自身はSLにはそれほど興味はありませんが、鉄道の世界において、SLからディーゼル化、電化へと進んでいく中で、SLの仕組みや運用上の特長を知るというのは鉄道の歴史を知るうえで欠かすことができないと思います。

 そういった基礎知識を包括的網羅的に学ぶことができるというのがこの本です。

 日本にもかつて1960年代後半から70年代半ばまでSLブームというのがあり、SLを撮影するのが流行していました。当店のヤフオクサイトにも出品しておりますが、「SL」、「季刊蒸気機関車」、「SLダイヤ情報」等、SLをテーマにした各種鉄道雑誌が定期刊行されていた時代もありました。

 最近、この書評コーナーでも取り上げましたが、「機関車、驀進 田村力 ライチブックス」のように、SL乗務員に焦点をあてた本などもあります。これらSL関連本をみると、熱効率、馬力、乗務員の労力、機関車保守等などの観点から、無煙化(ディーゼル化)、電化は自然な方向なのかなと感じます。ノスタルジーと言ってしまえば簡単ですが、なぜSLが淘汰されたのか、その魅力は何かというのを考えるうえでも、これらSL関連本を手に取って読んでいただけるとうれしいです。

 今回はここまでにします。次回もお楽しみに。

 

  

 

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