2024.12.8 冬の夜長の書評コーナー 機関車、驀進 田村 力 著 ライチブックス刊
12月に入ったということで、今回は最近入荷した新刊書「機関車、驀進」田村 力 著 ライチブックス刊 を紹介したいと思います。
ここでいう、機関車とは蒸気機関車のことで、昭和38年(1963年)に日本国有鉄道高崎鉄道管理局に入社した著者が、蒸気機関車の機関士を目指す話です。そのころ国鉄は、昭和50年ごろまでには蒸気機関車を全廃(電化、ディーゼル化)を打ち出しており、機関区においても、無煙化に切り替わりつつある様子が描かれています。著者は子供のころから農作業の手伝いをしながら畑の脇を走る蒸気機関車に魅了されており、蒸気機関車の機関士になる夢をかなえるべく、機関助士(石炭を釜にくべる)、機関士へとステップアップしていく姿が描かれています。
電車、電気機関車、気動車、ディーゼル機関車は、現代においても現役であり、その仕組み等は比較的目にする機会が多いですが、本書は目にすることの少ない、蒸気機関車の仕組みや、蒸気機関車の運転方法についてもわかりやすく解説しています。
とはいえ、蒸気機関車廃止の流れには逆らえず、著者も最終的には電車運転士へ移行することになります。
しかし、その後、観光資源、産業遺産の保存という観点から、蒸気機関車の復活が始まり、著者もJR東日本にて、蒸気機関車機関士、機関助士としての乗務や、乗務員の養成に携わることになります。
また、JR東日本以外にも、秩父鉄道にて、蒸気機関車機関士、機関助士としての乗務や、乗務員の養成に携わり、東武鉄道においても、蒸気機関車機関士、機関助士の養成に携わることとなります。
本書はこうした蒸気機関車機関士、機関助士の乗務、養成のエピソードや、蒸気機関車の構造、蒸気機関車全盛期から廃止、復活までの機関区(乗務区)の様子や、乗務員養成研修の様子、当時の組合活動(動労)の様子など多様なエピソードが満載で、鉄道に関心のある方にとって非常に興味深く読める内容です。
当店では、こういった鉄道、交通などの書籍も数多く取り扱いしております。次回もお楽しみに。
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