本のパーツ説明、古本の状態を示すのに使う用語のはなし(その3)
今回はその3ということで、古本屋のウェブサイトや目録(カタログ)でどのように古本の状態を説明しているかを解説します。
上記の写真は、実際の目録の例ですが、掲載されている情報としては、本の題名、著者、出版社、刊行年、値段のほかに状態についての解説が載っています。右ページより左ページの方が情報は多く、判型(本のサイズ)なども掲載されています。
右ページの例を挙げると、
「苦いお茶 初版函少ヤケ 印消し跡有 新潮社 木山捷平 1963 1,500」とあります。
「タイトル 状態 出版社 著者名 刊行年 値段」の順です。状態についてですが、 函のある本で、初版本であること、少し日焼けしていて、印を消した跡がある ということが分かります。函やカバーがついているかどうか、函の種類(外函や輸送函ではない普通の函)、日焼けが少しあること 印消し跡あり以外には、シミ、書き込み、線引き、マーキング、落書き、破れ、落丁、裁断ミスなどの特記事項はないことがわかります。
印というのは、蔵書印やゴム印等押印があるものです。一般的には初版、印なしの方が評価は高くなります。また、カバーについてですが、一般的なカバー以外には、ビニルカバーや、カバーと本体が一定化している折り込みカバーなどがあります。
今度は左ページの例を挙げると、
「公爵山縣有朋伝 上中下揃 徳富猪一郎 A5裸本天金小口・地シミ 某記念事業会 昭8 20,000」とあります。
「タイトル 冊数 著者名 判型、状態 出版社 刊行年 値段」の順です。冊数については 上中下の3巻セットであり、全巻揃っていることが分かります。通常「揃」とある場合は全巻揃をさし、セットと書いている場合は必ずしも全巻ないことがあります。また、全10巻のうち、3巻だけ欠品の場合は、3巻欠と注記したりします。A5というのは本のサイズです。A〇版、B〇版、以外にも、菊版、四六版、新書版、文庫版等があり、それ以外にも縦の長さを㎝で表記することもあります(例:21cm)。
裸本というのは、本来ついていた函もカバーもついていない本のことです。雑誌などのようなペーパーバック本は裸本とは言いません。天金というのは天に金箔が貼ってある装丁のことです(その1で出てきましたね)。その他、小口・地にシミがあることが説明からわかります。シミ以外にも、やけ、擦れ、撚れ、いたみ、くすみ、汚れ、破れ等がある場合、その説明が書かれていることもあります。
そのほかに知っておくとよいことは、市販されていなかった本は「非売品」、自費出版して身内に配っただけとか商流に載っていなかった本を「私家本」、限定〇部のような本は「限定版」、古文書等を写真製版したような本を「影印本」、昔発行された本を復刻した場合は「復刻本」(昔発行された本をそのまま写真製版した場合は影印本)、表紙や裏表紙等の角が折れている状態を「角折れ」といいます。
目録やネットで古本の状態を知るのに役立つ用語は以上です。次回は本のバーコードの説明をします。ありがとうございます。
関連情報