2025.10.14 秋の夜長の書評コーナー 戦後日本をダメにした学者・文化人 細川隆元 山手書房
今回紹介する本は、「戦後日本をダメにした学者・文化人」 細川隆元著 山手書房 です。
この本は、1978年(昭和53年)刊行の単行本で、戦後日本の知識人や文化人を保守的な視点から批判的に検証した書籍です。細川隆元(1912-1981)は政治評論家・元衆議院議員として知られ、天皇制や伝統を重視する立場から、戦後民主主義や左派的知識人の影響を「日本をダメにした」と糾弾する内容となっています。
戦後リベラル全開の1970年代によくもまあ、当時の一世を風靡していた知識人・文化人をめった斬りにしているところが痛快です。内容を一言でいうと、戦後日本の混乱や衰退の原因を、学者・文化人の言動に帰し、各人を個別に取り上げて批判する構成です。全体として、GHQ(連合国軍総司令部)の占領政策や憲法改正、平和主義、教育改革などが日本を弱体化させたとし、それに迎合・推進した知識人を「戦犯」的に扱います。本多勝一、立花隆、大森実、花森安治と続き、五木寛之、畑正憲、曾野綾子、江藤淳、磯村尚徳、大橋巨泉、青島幸男、永六輔、山本七平、上坂冬子、小田実などまあ今でも有名なビッグネームが取り上げられています。
なるほどなー、と気づかされる一方で、これはちょっと極端なのでは?という部分もある内容ですが、当時の雰囲気を感じながら、現代と対比するエンタメとして読むならそれなりの価値がある本だと思います。
今回の書評は以上です。次回もお楽しみに。
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