芸備書房

2025.5.2 春の夜長の書評コーナー 上越新幹線物語1979、青函トンネル物語 交通新聞社新書

 5月の1回目の書評は、「上越新幹線物語1979 北川修三 交通新聞社新書」「青函トンネル物語 交通新聞社新書」を紹介したいと思います。

 交通新聞社新書とは、鉄道弘済会出版部を前身とする交通新聞社の新書レーベルです。

 内容も、鉄道、公共交通関係が中心のシリーズですが、その中で鉄道工事について取り上げている2冊を紹介したいと思います。鉄道工事というと、土木工事の中の鉄道部門の工事ですが、特に大がかりな工事の中に、トンネル工事、橋梁工事、高架化工事、地下化工事などがあります。

 その中の鉄道トンネル工事として、屈指の難工事として知られる「青函トンネル工事」「上越新幹線中山トンネル工事」を取り上げているものがこの2冊です。

 両工事とも、日本鉄道建設公団(現:鉄道建設・運輸施設整備支援機構)が発注し、名だたる大手ゼネコンがJVを組んで施工し、トンネル内の落盤、湧水等様々な困難を経て、長い時間や巨額の費用、設計変更等をへて完成させた工事です。施工の過程において、NATM工法等新しい工法をふんだんに取り入れ、まるでプロジェクトX(NHKの番組)のようなドラマティックなヒストリーが多数描かれています。

 2冊とも発注者側の日本鉄道建設公団の立場で書かれていますが、実際の工事の姿や、その過程が生き生きと描かれており、単なる鉄道趣味というよりは、(鉄道土木)トンネル工事の恰好な入門書となっています。

 鉄道ファンの分野に、鉄道土木とか鉄道構築物のファンはあまりいないと思いますが、ある意味、鉄道趣味の周縁部というかレア物の内容として取り上げてみました。

 今回の書評はここまでにします。次回もお楽しみに。

 

  

 

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