2025.4.19 EX+春の夜長の書評コーナー 岡山文庫 5点 日本文教出版
4月の4回目の書評は、「岡山文庫 日本文教出版」を紹介したいと思います。
「岡山文庫」とは、岡山市に本社のある出版社「日本文教出版」が出しているレーベルであり、岡山県のいろいろなトピックについて解説をしている1964年より刊行されている文庫シリーズです。2024年末で334点が刊行されています。
その中でも、№299岡山の銀行、№140両備バス沿線、№165下電バス沿線、№180中鉄バス沿線、№194岡山の乗り物 の5点を取り上げてみたいと思います。
まず、№299岡山の銀行ですが、岡山県内の金融機関として、中国銀行、トマト銀行、各種信用金庫、信用組合、農協(JAバンク)について、明治期の銀行誕生から、どのように銀行や無尽が乱立し、中国銀行、トマト銀行に合併淘汰されていったのか、岡山県金融の立役者、キーパーソンを紹介しています。そのほか産業組合をはじめとした協同組合金融機関(信用金庫、信用組合、農協)の変遷についても触れています。
中国銀行、トマト銀行にくらべると、協同組合金融機関の記述は少なく、漁協(JFマリンバンク)の記述はほぼなかったのでこのあたりについても触れてもらえるとよりよかったのではと思います。
次に、№140両備バス沿線、№165下電バス沿線、№180中鉄バス沿線、№194岡山の乗り物 ですが、バス沿線シリーズはバス会社の話というよりは、バス路線の沿線名所ガイドといった感じなので、バス会社そのものに焦点を当てた本ではありません。例えばバス車両や、営業所、バス車庫の話はほぼ出てきません。とはいえ、本が出版時の路線図や営業エリアについての記述はあるのでその意味では、どこを拠点、地盤にしているのかということはよくわかります。
岡山県の交通全般という意味では、№194岡山の乗り物 が良くできています。明治頭の人力車、馬車の時代から、船、自転車、鉄道、バス、路面電車、飛行機、自動車等、時系列的に解説があり、すでに廃止になった路線、解散した会社についても取り上げられているので、先に№194を読んでから、バス路線シリーズを読んだ方がより味わい深いものになると思います。
今回の書評はここまでにします。次回もお楽しみに。
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